インタビュー

  • HOME
  • インタビュー

歯科医師が街に飛び出し、患者さまのところにうかがいます。

これまでは歯科医院にいた歯科医師や歯科衛生士ですが、今は治療機器を携え車に乗って、「走る歯医者さん」として患者さまのもとへうかがう時代です。

訪問歯科診療を行う時、どのようなことに気を付けていますか?

患者さまの現在の状態を見て、未来の状態を予測することです。もちろん、痛みなど緊急性があれば治療を優先しますが、その後は3年後、5年後、10年後と未来を見据えた治療計画を立てさせていただきます。

治療に着手する前は、診査診断することが大事です。歯だけでなく、その患者さまの手はどれくらい動くのか、歯磨きはできるのかも合わせて考え、お手入れしやすい治療方法を考えていきます。残り少ない歯がグラグラしている場合など、将来的に総入れ歯になることが予想される患者さまでしたら、あえて歯を抜くことをご提案することもあります。ご家族やケアマネージャーからの情報も参考にしています。

お口の中が汚いまま放置してしまうと、どんな悪影響が出てしまいますか?

何よりも心配されるのは、誤嚥性肺炎です。お口の中に汚れがあって飲み込んでしまっても、一般的には胃酸で無害化されますから問題ありません。しかし、間違って肺に入ってしまい、咳き込むことができない患者さまの場合、そのまま肺炎になってしまいます。また、お口の衛生状態が味覚に影響することも考えられます。

おいしく食事をすることができれば体力が付きやすく、活動量や筋力を維持することにもつながるでしょう。体力や全身の機能低下を防ぐためにも、お口を清潔に維持することが大切です。

口を開け続けることが困難な場合には、どのように対処していますか?

二つの方法があります。一つは、お口を開けるのを補助する道具を使うことです。歯科治療では様々な治療器具を使いますので、お口を閉じてしまうと唇を切ったりしてしまうかもしれません。それを防ぐためにこのような道具を使用してサポートしています。

もう一つは、その患者さまのお口を開ける幅や時間の長さに応じて、治療計画を小分けにすることです。1回の治療が短時間で済めば、それだけ患者さまの負担を減らすことにつながります。

入れ歯を使用されている方に対して、特に注力して行っていることはありますか?

まず、今お使いの入れ歯が患者さまのお口に合っているかを確認させてください。長年問題なく使ってきたという方でも、合っていたからこそ、歯がすり減ってしまっている場合があります。もし入れ歯が合っていなかった場合は、新しい入れ歯を作ることも可能です。

入れ歯作りに当たっては、型取りの材料にシリコンを使い、入れ歯が入るスペースを記録に取ります。歯茎のところだけでなく舌の厚みなども調べるのが、フィットする入れ歯を作るポイントです。その上で、ゴシックアーチという方法で入れ歯を設計し、特に意識しなくても自然に噛めるよう、入れ歯の歯を配置していきます。

型取りや途中段階でのチェックを細かくすることが、完成品の入れ歯をお渡ししてから調整する手間を減らし、患者さまの負担を少なくすることにつながります。

これまで診てきた患者さまの中で印象的なエピソードなどはありますか?

自閉症スペクトラム障害があるために警戒心が強く虫歯も多かったお子さまのことが印象に残っています。「歯医者」という言葉でパニックを起こすという問題がありました。

治療の目的としては、虫歯をそれ以上悪くしないこと、永久歯を虫歯にしないこと、歯科医院に通えるようにすることでしたが、最初は不安そうな顔をして歯磨きでさえさせてくれなかったものです。しかし、信頼関係を築き、歯科医院に来られるようになりました。今では、笑顔で治療に来てくれています。